読書・映像鑑賞 2018年12月

映画「モンテーニュ通りのカフェ」
[2018/12/30]

「モンテーニュ通りのカフェ」(2006年、フランス)はダニエル・トンプソン監督の映画。トンプソン監督と言えば「シェフと素顔と、おいしい時間」を撮った、お洒落な監督です。「モンテーニュ通りのカフェ」はパリ8区にあるカフェを舞台にした作品。資産家や大学教授、ピアニストなど上流階級の人々と田舎から出てきた主人公の交流が描かれています。黒人と白人、労働者とエリートなど、階級間の交流は最近のフランス映画で良く描かれるテーマで、自由、平等、博愛を掲げるフランスらしい映画でした。私は数か月、パリに滞在してフランス人と接したことがあるので、雑多な町や人種の感覚を理解できますが、フランスをお洒落だと思っている優しい日本人にはこのような映画は理解しにくいかもしれません。実体験があると、映画の味方も変わると思いました。パリの芸術事情を知ることのできる面白い映画です。

写真:https://afternooncinema.blog.fc2.com/blog-entry-75.html
http://blog.livedoor.jp/papikosachimama/archives/51253033.html


映画「全身小説家」、「天空の蜂」
[2018/12/23]

木曜日に原一男監督が映像社会学の授業に来てくださったので、少し話を聞くことができました。それ機会に原監督の「全身小説家」(1994年)を見ました。「全身小説家」は晩年、ガンに侵された小説家、井上光晴を主人公にしたドキュメンタリー映画、この年のキネマ区報ベストワンに選ばれた映画です。この映画も「ゆきゆきて神軍」同様、感動的なドキュメンタリー映画で「事実は小説よりも奇なり」を印象深く感じさせてくれます。淡々と撮られるドキュメンタリーの方が劇作よりもリアリティがあるのが面白い。2作を見て感じたことは原監督が「人間が好きで興味を持っている」ということです。 薄っぺらい言葉だけの愛情とは違う視点で人間の行動やしぐさを観察するからリアルなのかもしれません。
先週、堤幸彦監督のくだらない映画「RANMARU 神の舌を持つ男」でがっかりしたので、今週は同監督の「天空の蜂」(2015年)を見ました。 原作が東野圭吾(1995年)なので、予想通り面白い映画でした。堤監督は「RANMARU 神の舌を持つ男」のような喜劇映画よりも、少しシリアスな作品の方が似合っています。映画は予想通りですが、それよりも原発の問題を1995年に小説化していた東野圭吾の慧眼に驚きます。さすが流行作家、人気がある理由がわかります。これから東野がどのような作品を発表するか楽しみ。私にとっては東野圭吾が「全身小説家」ですね。

写真:https://eiga.com/movie/37524/
http://cinefil.tokyo/_ct/17108939
https://eiga.com/news/20150410/9/


映画「RANMARU 神の舌を持つ男」、「ぼくの伯父さん」、「ゆきゆきて神軍」
[2018/12/16]

メディアコムの試験が終わり、ビデオを見る時間があったので、「RANMARU 神の舌を持つ男」(堤幸彦 2016年)、「ぼくの伯父さん」(ジャック・タティ、1958年フランス)、「ゆきゆきて神軍」(原一男、1987年)を見ました。くだらない映画を見て脳を休めたかったので「RANMARU 神の舌を持つ男」を見たのですが、あまりのくだらなさに、「このような映画を作る意味があるのだろうか」と逆に考えさされました。堤作品は好きなのですが、この作品はイマイチ。その後、気分を変えようとジャック・タティの「ぼくの伯父さん」を見ました。この作品は第31回アカデミー賞外国語映画賞を受賞していますが、タティはどれを見てもおしゃれで面白い。この映画は60年前の映画ですが、今見ても色あせていない。質の良い映画は時間を経ても見ることができるのですね(一方、、「RANMARU 神の舌を持つ男」などは、すぐに忘れ去られるでしょう) 今週の木曜日の岡原ゼミに原一男監督が来ます。それで予備知識を得るために「ゆきゆきて神軍」を見ました。映画史やドキュメンタリー映画に関する番組を見ると必ず紹介される古典的作品なので、見るのを楽しみにしていましたが、実際に見ると素晴らしいドキュメンタリー映画だと感じました。映画を見ると戦中の悲惨な体験や撮影当時のラディカルな雰囲気が伝わってきます。映画に記録としての役割があることを強く印象付けてくれる映画でした。

写真:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000014917.html
https://blogs.yahoo.co.jp/bee3102005/56079110.html
https://screenonline.jp/_ct/17127831
http://www.libro-koseisha.co.jp/society_education/yukiyukite/
https://movie.hix05.com/documentary/doc021.shingun.html


映画「戸田家の兄妹」
[2018/12/09]

「戸田家の兄妹」(1941年3月)は小津安二郎が戦中に撮った作品です。主演は佐分利信、高峰三枝子。この年の12月、日本はパールハーバーを爆撃して太平洋戦争が始まります。そのような社会情勢の中で家族を題材にした映画を作るのだから小津も徹底していますね。物語は父が急死し、それぞれ家庭を持っている長男・長女・二女夫婦と残された母親(葛城文子)・三女と(高峰三枝子)の話。親子の冷たい関係を描いていて、後の「東京物語」に通じるものがあります。子供たちに邪魔者扱いされる母親は、見ていて悲しい。みんな金持ちなので余計に冷酷さが伝わってきます。 特に、三女と長男の嫁(三宅邦子)とのやりとりは現実的で壮絶。奔放に生きる二男(佐分利信)と三女の友達(桑野通子)は優しい味方。このような家族関係はどこにでもあります。これから先、日本でも少子高齢化社会が進むので、小津の描きたかった主題、人間関係の問題ももっと顕著になるでしょう。ところで来年、私の家に広島から祖母が引っ越してきます。父と祖母は一見仲が悪いように見えるのですが、同居するには仲良くなければできません。来年、我が家はどうなるのでしょう。

写真:https://www.pinterest.es/pin/440015826067566829/
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%B8%E7%94%B0%E5%AE%B6%E3%81%AE%E5%85%84%E5%A6%B9


映画「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」
[2018/12/02]

「ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲」(デヴィット・カー監督、2018年)を見に行きました。「ジョニー・イングリッシュ」はミスタービーンでお馴染みのローワン・アトキンソン主演のスパイコメディ3作目。今回の映画のテーマは人工知能やVRなどのテクノロジーの脅威です。映画を見ていると高齢化などの社会問題の風刺がところどころに出てきます。それをコメディにするところが凄い。 今回の映画の舞台はフランスのアンティーブなのですが、私自身、昨年、アンディーブを訪ねたので、映画の中の風景にどこか見覚えがあって、懐かしさを感じました。ワトキンソンは「ミスタービーン カンヌで大迷惑」でも南フランスを舞台にしています。彼は陰気なイギリスと陽気な南フランスを対比させて映画を作っています。多分、ワトキンソンが南フランスが大好きなのでしょう。本作も安心して笑えるイギリスらしいコメディ映画でした。

写真:https://mtown.my/event/167-5/
https://dot.asahi.com/wa/2018110100022.html


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