読書・映像鑑賞 2018年10月

映画「3-4×10月」、「嫌われ松子の一生」
[2018/10/29]

北野武監督の第2作 「3-4×10月」(1990年)を観ました。題名が奇妙なので調べると「3-4×」は野球のスコア、「10月」は10月に公開予定でつけられた題名だそうです。 最初、「3-4×」の「-」をマイナスだと思い、3-4=-1、それに10を掛けると-10月、とは何?と奇妙なことを考えていました。 物語は草野球チームに属する青年とヤクザが喧嘩になり、最後にその青年がヤクザの事務所にタンクローリーで突っ込んで暴発するという話です。 「4×」は最終回に逆転する草野球の話。題名の意味を理解して、内容を見ると納得できます。映画の中で主人公たちが沖縄に拳銃を買いにいくシーンは秀逸。 本当にでたらめです。興行的にこの作品は失敗したと言われていますが、「菊次郎の夏」、「この夏、一番静かな海」と共に私の好きな北野作品となりました。
「嫌われ松子の一生」(2006年)は中島哲也監督、中谷美紀主演の映画。 教え子の窃盗の責任を取って女教師・川尻松子が退職、それから転落の人生を歩むという物語です。 CG合成による星・花・小鳥が舞い踊るファンタスティックなシーンやミュージカル音楽がふんだん使われ、重い題材の割にコミカルな悲喜劇作品となっています。 装飾性が強く、シンプルな構成の「3-4×10月」とは対照的。2作とも社会の中にヤクザな人たちがいることを示唆してくれる映画です。 私はヤクザに縁はありませんが、そのような世界がある事を垣間見せてくれます。

写真:https://chapterworld.typepad.jp/sholife/2008/08/3-410-250a.html
https://myouden.at.webry.info/200605/article_22.html
https://blogs.yahoo.co.jp/tkr_21/35789829.html


映画「秋のソナタ」
[2018/10/22]

今年、生誕100年を迎えたイングマール・ベルイマン監督の「秋のソナタ」(1978年)を観ました。 この映画を見ることになったのは、来年、祖母が東京に引っ越してくることがきっかけでした。 今年、58歳の私の父は「祖母と仲が良いが、これから一緒に暮らすのは大変だろうな」と予想して、毎日、愚痴をこぼしています。 そのような父が私にこの映画を見るように勧めてくれました。「秋のソナタ」の内容は年老いた母親と大人になった娘の愛憎劇。 同じ家に暮らしていても個性や価値観が違うので、お互いが愛し合う親子でも対立が生まれる。近づけば近づくほど断絶する親子の心理が見ものです。 ちなみに、私の父は若い頃、アーティストを目指していて、一般的な価値観を持っていた祖母と激しく対立したそうです。「秋のソナタ」に出てくる母親はピアニスト。 芸術家の親と一般的な価値観を持つ娘であればなおさら確執が生まれる。 その後、私の父は商売を始め、アートから遠ざかって安定した生活を送っているので、私と父の親子関係は「秋のソナタ」のような親子関係には至っていません。 小津安二郎も主題は家族関係ですが、ベイルマンの描き方はまったく違う。 芸術家を描いているからでしょうか、日常と非日常が対立するところに、芸術やドラマが生まれる。 どちらを主体に生きるかで人間関係は大きく変わってしまうのですね。

写真:https://ssm2438.exblog.jp/11862814/
http://cinefil.tokyo/_ct/16882803


アンドレイ・タルコフスキー「ストーカー」
[2018/10/15]

映画「ストーカー」はソ連の監督アンドレイ・タルコフスキーが1979年に撮った作品です。 不可解なゾーンという領域を巡る話ですが、内容が極めて難解で内容を言葉で説明できません。 その割に緊張感があり、映像美に圧倒される。雨、滝、下水、沼、川など、いつも見ている風景が不思議な感じで描かれていて心に沁みます。さすが「映像の詩人」。 映画でなければできない表現、芸術性も高く、最近の映画作品にはない魅力があります。時代にせいなのでしょうか、このような映画が製作できる時代は良いですよね。 現代の日本映画を見ていると、何なのだろうなと疑問に感じてしまいます。
ところで、11月7日、私はある場所でパフォーマンスを行うのですが、「ストーカー」を題材にしたパフォーマンスを行うことにしました。 15分間の中で、どれだけ映画のような雰囲気を出せるかが勝負。構成をしっかりと練って「ストーカー」のような世界を表現したいと思います。

写真:http://d.hatena.ne.jp/yukutaku/20140125/1390672106
http://cinefil.tokyo/_ct/17108939
https://rbhh.exblog.jp/4431235/


小諸映画祭
[2018/10/08]

10月7日(日)、小諸市役所ステラホールで「第2回小諸映画祭」が開催されました。 この映画祭は慶應大学文学部岡原正幸研究会主催、小諸市協賛で、東京近郊にある大学生が十数分の映画作品を作り、映画祭で発表するというイベントです。 ゼミ活動の中では大掛かりな企画で予算も他の企画の10倍かかっています。 昨年、私はフランスに留学していたので、小諸映画祭に出席できず、それで今年、観客の1人として参加しました。上映作品数は4本。 千葉大学が製作した「ユリイカ、君と夏の続き」がグランプリを受賞しました(グランプリは観客の投票で決まります)。 内容は青年特有の青春恋愛ドラマ。準グランプリは福島大学「小諸映画祭撮影中止!」。早稲田大学の「こえのこえ」は映像も美しく、安定している内容の割に人気がなかった。 やっぱり観客は完成度よりも学生らしさが出ている作品を指示するようです。小諸映画祭の映像作品はユーチューブで見ることができるので、興味ある方は是非、ご覧ください。 年ごとに4本、続けて見ると映画祭に参加したような気分になれます。内容はともかく、現代の学生がどのような感覚で生活しているのかが理解できるでしょう。


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