読書・映像鑑賞 2018年8月

映画「海街Diary」、「ゾンビ」、「1984」、「未来世紀ブラジル」
[2018/08/26]

「海街Diary」は2015年に公開された是枝監督の作品。吉田秋生のをマンガ(鎌倉に住む4姉妹の話)を実写化したもので豪華な女優陣の出演が話題を呼びました。 この映画はカンヌ映画祭に出品され、日本アカデミー賞最優秀作品賞を獲得していますが、映画ファンの評価は2分されています。 私にとってこの映画は退屈そのもの。女性たちの日常を描いた作品ですが、映画の核となるテーマが曖昧で、展開にメリハリがないため、冗長でうすっぺらいものになっています。 有名な監督が綺麗な女優を起用して作った商業用の映画。作品の出来に比べると各映画賞を総なめにしているのは業界のなせる業でしょうか。 「住みたい町ランキング」と同じで、是枝監督はきっと「見たい映画監督ランキング」の1位でしょう。武蔵小杉みたい。
「ゾンビ」(1978年)はジョージ・A・ロメロ監督のB級映画。 内容は死人が生き返っって人間を襲うというくだらない話ですが、この作品をもとにマイケル・ジャクソンの「スリラー」や「霊幻道士」のキョンシーが人気が出たり、他の作品に大きな影響を与えています。 ちなみに都市社会学の近森教授の著作の中で、「ゾンビがモールに集まるのは本能」という部分を抜き出して、この映画のことが取り上げています。B級映画ですが、人間の欲望をよく観察、 分析した映画だから世界的にもヒットそたのでしょう。
「1984」(マイケル・ラザフォード監督、1984年)はジョージ・オーウェルの小説を映像化した近未来の全体主義が舞台のディストピアムービー。 主人公は抑圧された社会で人間としての欲望を貫こうとしますが、最後は政府によって拷問かけられ、思想を変更します。 この映画が作られた1984年は冷戦時代、自由主義陣営側は共産主義陣営に対して恐怖を抱いていました。 ところがソ連が崩壊して共産主義勢力が無くなった現在、IТ、SNSを中心とするディストピアが世界的に完成しつつあります(特に中国が顕著)。 これでは自由主義が勝利したのか全体主義が勝利したのかわからなくなります。思想変更後の主人公たちの無気力な表情は悲しいですね。
「未来世紀ブラジル」(1985年)、モンティ・パイソンのメンバーだったテリー・ギリアムによって撮られた映画。 内容は「1984」と同じですが、「1984」がシリアスな映像であるのに比べて、「未来世紀ブラジル」にはコメディの要素がふんだんに盛り込まれています。 しかし、最後は良作とも悲劇的で胸に迫るものがあります。両作品が作られて30年、作者たちが想像してた未来像とは少し違っているようです。 現在は思想というよりも経済格差が抑圧の根源ですね。

写真:https://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/0d7086a9b48839de90808fc41e1a2674
http://livedoor.blogimg.jp/donsanbonsan/imgs/4/7/478632d6.jpg
https://movies.yahoo.co.jp/movie/1984/1905/
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映画「そして、父になる」、「Love Letter」、「土竜の唄」、「殿、利息でござる」
[2018/08/19]

「そして、父になる」(2013年)で、是枝監督の映像作品を初めて見ました。 内容は子供の取り違え問題をテーマにした話、親子関係で悩む父親の姿が描かれています。 是枝監督はもともとテレビでドキュメンタリー番組を作っていたので作品も社会的です。 ただ、70年代以前のような重厚な社会的映画と異なり、主題が人間の内面に当てられていて、しっとりした感じの作品に仕上がっています。 これが現代風の社会学的映像なのですね。
岩井俊二の「Love Letter」(1995年)は90年代の感じが良く出ている映画。 映像を見ていると最近、恋愛をテーマにした純情な感じの映画やドラマはあまり作られていないことに気づきました。 この映画が作られた1995年は阪神大震災や地下鉄サリン事件があった年。この作品自体が時代の節目に作られた感じの映画となっています。 ちなみにフランスに滞在中、韓国人の友達から「日本に『お元気ですかー!』という有名な映画があるよね」と言われたことがありました。 映画を見ていて、この作品のことを言っていたのだと気づきました。「Love Letter」は韓国でも流行したようです。
「土竜の唄」は三池崇史監督、宮藤官九郎脚本の映画。皆川猿時が出演しており、「土竜の唄」を唄うシーンが、「あまちゃん」の「南部ダイバーの唄」を歌うシーンに似て、大人計画のテイスト満載です。 ただ、映画には有名な俳優がたくさん出演していて、大人計画とは違う感じの作品に仕上がっています。くだらない映画ですが、なかなか面白かった!
「殿、利息でござる」(2016年)は磯田道史原作、阿部サダヲ主演の映画。伝馬役の賦役を減らすため、豪商がお金を出し合って殿様にお金を貸す話。 「武士の家計簿」のように、当時の貨幣価値や経済状態など時折、説明されながら話が進みます。飄々とした感じのコメディタッチの面白い作品でした。 阿部サダヲ(大人計画)って可笑しいですね。配役もなかなか良い。電通が絡んでいるせいか、羽生結弦も出演しています。強引と言えば強引ですね。

写真:https://eiga.com/movie/58060/photo/
https://www.amazon.co.jp/Love-Letter-DVD-%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E7%BE%8E%E7%A9%82/dp/B00005HSU8
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読書「入門メディア・コミュニケーション」、映画「卒業」、「真夜中のカーボーイ」
[2018/08/12]

夏休みはメディア関連の勉強をしようと考えているので、「入門メディア・コミュニケーション」を読みました。 この本は慶應大学メディア・コミュニケーション・センターの教授たちが著したテキストです。2年前、私はメディコムに入る試験を受けたのですが不合格。 もっと早くこうした本を読んでおけばよかったと後悔しています。あの頃の私は自分が何をしてよいのかわからず右往左往していました。 今、考えると自分は社会学よりも美学向きだったかもしれないとも思ってしまいます。 いまさら美学専攻に変更することもできないので現代社会学で絶対に必要なメディアの本を読み始めました。 この本はメディア・コミュニケーションに関する初歩的な本ですが、社会学とメディアを結びつける考察に役立ちます。

ゴードン・マッタ=クラークの展覧会に行ったので、展覧会と同じ時代の雰囲気を持つ映画「卒業」(マイク・ニコルズ、1967年)、 「真夜中のカーボーイ」(ジョン・シュレンジャー、969年)を見ました。「卒業」はアメリカン・ニューシネマを代表する作品。エリート大学生が不倫を犯して苦悩する物語。 ベトナムに深入りしすぎたアメリカと奥様に深入りしすぎた学生の苦悩を重ねて描いています。 この映画を有名にしたのがサイモン&ガーファンクルの音楽(サウンド・オブ・サイレンス、スカボロー・フェア、ミセス・ロビンソン)。 映画の内容とマッチして美しい作品を作り上げています(特にプールのシーンは印象的でした)。
「真夜中のカーボーイ」もアメリカン・ニューシネマの代表作。成人映画の指定を受けながら、アカデミー賞を受賞した珍しい作品です。 西部の田舎から希望をもってニューヨークに出てきた青年が都会で非日常的な出来事に遭遇するという物語です。 最後は悲劇で終わるというアメリカン・ニューシネマらしい終わり方ですが、他の映画にはない人間らしい温かさを感じることができる作品です。
この映画が製作された時代、ゴードン・マッタ=クラークは「真夜中のカーボーイ」の舞台となったブロンクスで建物の天井や床に四角い穴を開けた 「ブロンクス・フロアーズ」という作品を作っています。映画を見ると、クラークがどのような地域で活動していたか理解できます。

写真:https://www.amazon.co.jp/%E5%85%A5%E9%96%80%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%
E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%
E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E5%B1%B1%E8%85%B0-%E4%BF%AE%E4%B8%89/dp/4766424441
https://ameblo.jp/turikittuan/entry-12388621248.html
https://blogs.yahoo.co.jp/cocoro4u4me/43076152.html


映画「男はつらいよ 寅さんサラダ記念日」、「菊次郎の夏」、「TAKESHIS'」、「薔薇の名前」、「地獄に落ちた勇者ども」
[2018/08/05]

夏休みに入って、毎日、ビデオを見ています。
 「フーテンの寅さん サラダ記念日」(1988年)は、男はつらいよシリーズの40作。 当時、人気のあった歌人・俵万智の歌集を題名に使っています。内容はいつもと同じように寅さんが女性(今回は女医)に恋する話。 小諸に住む老婆の臨終、若者の青春、寅さんの恋が重なりながら物語が進みます。岡原ゼミが今秋、小諸映画祭を行うのでこの映画を見たのですが、小諸の風景は美しいですね。 「菊次郎の夏」(1999年)、「ТAKESHIS‘」(2005年)はビートたけし監督の作品。 「菊次郎の夏」は、ヤクザな主人公と少年、暇な大人の関係、男が持つ少年の純真な気持ちが描かれていて爽快な作品に仕上がっています。 一方、「ТAKESHIS‘」はたけし自身がフラストレーションをためた時に作った作品。 芸人、監督のをするたけし自身の苦悩が映画全体に流れています。同じ監督でも精神状態によって作風が変わる。 一人の人間にいろいろな面がることがわかります。


「薔薇の名前」(1986年)はウンベルト・エーコの小説「薔薇の名前」を映画化した作品。 時代設定はルネッサンスが始まる前の1327年、法王庁がアヴィニョンにあった時代のイタリアの修道院を舞台に物語が進みます。 キリスト教の修道会の権力争い、宗教理論の争い、アリストテレスの「詩学」をどのように評価するかが絡んで、重厚な中世劇が展開します。 「地獄に落ちた勇者ども」(1969年)はルキノ・ビスコンティの作品。ナチスが台頭する時代、ドイツの企業家家たちが国家の圧力に屈する様子を描いています。 映像には時代の重苦しい雰囲気、登場人物の葛藤が漂っています。このような映画はビスコンティでなければ作品化できなかったはず。内容は重くて暗いのに美がある。 映画が全盛期だった名匠の作品は現代の映画とは全く違います。 日本の喜劇ばかり見ていたので、たまに巨匠の映画を見ると気分が変わります。

写真: https://www.vogue.co.jp/uploads/media/2015/02/19/g1.jpg
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https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b7/Camille_Claudel.jpg/180px-Camille_Claudel.jpg


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