読書・ビデオ鑑賞 2017年8月

映画 ジャック・タティ 「プレイタイム」
[2017/08/27]

金曜日、阿佐ヶ谷(中央線)にあるミニシアター「ユジク阿佐ヶ谷」でジャック・タティ監督・主演の「プレイタイム」(1967年)を見ました。
「プレイタイム」はジャック・タティが自らのライフワークとして20億円の資金をつぎ込んだ野心作。
「タティ・ヴィル」と呼ばれるガラスの超高層ビル、空港、博覧会場、アパートなどの巨大なセットが実際にパリ郊外に作られ、高画質の70mmフィルムを使用して撮影が行われました。 物語は近未来のパリ。パリにやって来たユロ(タティ)の不思議な行動がシニカルな笑いを誘います。 静かな笑いから始まり、最後はドタバタ劇で大爆笑を誘い、鑑賞後、心地よい気分になる映画です。
個人的には不気味な薬局に併設されたカフェ(ドラッグストア)のシーンが大好きです。 フランス人のエスプリの効いたユーモア、くすぐられるような笑いが映画全体を包み込んでいます。

公開時には一部の映画人に評価されたものの、マスコミの酷評やアメリカ配給の失敗から興行的には失敗しています。 しかし、現在、観ると名作であることがわかります。
私の中ではベスト10に入る映画で、この映画をマスコミが酷評した意味が不明です。 ミニシアターでもビデオで見るのと違います。本作は70㎜映画、巨大スクリーンで見たいので機会があれば絶対に見に行きたいと思います。

写真:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51Y9MW99C8L.jpg
https://www.cinra.net/uploads/img/news/2017/20170727-jacquestati_top.jpg
http://dorothy_dorothy.c.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_de2/dorothy_dorothy/playtime_3.jpg
https://www.yujikuasagaya.com/facility


映画 「シベールの日曜日」
[2017/08/20]

「シベールの日曜日(1962年、仏)」はセルジュ・ブールギョン監督によるモノクロ映画。戦争で記憶を失った主人公と少女の交流を描いた純愛ドラマです。 記憶喪失の主人公を演じるH・クリューガーの表情とモノクロの風景が意味深に交錯し、独特の映像美を作り出しています。 特に池の水面に映る主人公と少女のシーンは有名。美しいモノクロ写真をつなぎ合わせて作ったような映画で、写真と映画の類似性を感じることができます。 精神障害を負った主人公が世間から誤解を受けるシーンがあり、偏見も映画のテーマになっています。 悲惨な戦争体験で記憶を失った主人公と交流する少女の純粋さが周囲に受けられない悲劇的な結末が哀愁を誘います。 「ヒロシマモナムール」、「夜と霧」、「黒い雨」など、戦争の映画を見ていると、戦争が悲劇しか生まないことがわかります。 昨今、北朝鮮がグァムに向かってミサイルを発射すると表明した後、アメリとの関係がギクシャクしていますが、我々は戦争が実際に起きないようにする努力を払わなければなりません。 他人事のように考えていると、後で大きなツケが廻ってくることは太平洋戦争で経験済み。忍耐強く、戦争の芽を摘むことが大切です。

写真:https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51ov6VOBRKL.jpg
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/sutendo/20130911/20130911081748.jpg
http://1.bp.blogspot.com/-9UMqfZhmnlQ/UpCHzsGZ2NI/AAAAAAAAAQI/VObTitKicM4/s1600/20131123.jpg
https://ichef.bbci.co.uk/news/660/cpsprodpb/80C7/production/_97276923_041003980.jpg
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/08/post-8225.php


映画 「さよなら子供たち」
[2017/08/13]

先週は広島の原爆投下関係のビデオを紹介したので、今週はユダヤ人関係の映画をご紹介します。
映画の題名は「さよなら子供たち(1987年)」。 ヌーベルバーグの名監督ルイ・マルが少年時代に体験したことをもとに作った作品です。
内容は第二次世界大戦の時、ナチス・ドイツの占領下、友人のユダヤ人少年がゲシュタポに連行される話。 ルイ・マルは少年時代に起こった出来事を鮮烈に覚えているようで、リアリティのある作品に仕上がっています。 純真な少年と愛情深い神父がゲシュタポによって連れ去られる状況は悲劇です。 連行される教師が最後に言うセリフ「さよなら子供たち(Au revoir les enfants)」、「私はあの1月の朝を死ぬまで忘れないだろう」というラストシーンは「戦場のメリー・クリスマス」の「メリー・クリスマス、ミスター・ローレンス」に並ぶ名シーン。 生きて二度と会えないとわかっていながら、”Au revoir”(また会いましょう)と言うシーンは見ていると切なくなります。 人種間によるヘイトクライムが拡大する現在、このような映画を見ると、ヘイトクライムの愚かさを知ることができます。 簡単には解決できない問題ですが、それに向かう姿勢は維持して生きていきたい。
それにしても「夜と霧」、「ヒロシマ・モナムール」を撮ったアラン・レネや、「さよなら子供たち」を制作したルイ・マルにとって、戦争の悲劇は大きな課題だったのでしょう。 ルイ・マルはこの映画が公開された時、「当時のことを冷静に見ることができるまで40年を要した」と言っています。

写真:http://france.thyme.jp/2010/1011/are.jpg
http://blog-imgs-32.fc2.com/j/u/m/jumpeii/AuRevoirLeseEnfants_convert_20100926114313.jpg
http://www.tapthepop.net/wp/wp-content/uploads/2016/03/scene_160309.jpg


映画 「愛と死の記録」、「黒い雨」
[2017/08/06]

「愛と死の記録(1966年)」、「黒い雨(1989年)」を見ました。 両方とも原爆の後遺症の白血病で主人公が亡くなる話です。「愛と死の記録(1966年)」は蔵原惟繕監督が清純な若者の悲劇を描いた作品。 この映画の最初のシーンは父が育った家から100メートル離れた近所で撮影されたので、父はこの映画を見ると、いつも少年時代に過ごした町の雰囲気を思い出すと言っています。 「黒い雨」は広島県出身の小説家・井伏鱒二の原作を今村晶平監督が映画化した作品。 原爆投下後、広島に降った放射能の黒い雨に当たった主人公が白血病になってしまう話、子供を失う親の苦悩を描いています。 2つの作品は実話に基づいたもので、広島ではこのような悲劇が頻繁に起こっていたそうです。

月並みな言い方ですが、私たちは平和の大切さをいつも認識する必要があると思います。


佐々木禎子さん 千羽鶴 (広島平和記念資料館展示)

写真:http://www.happinetonline.com/000001/product/50/4988103601750_500.jpg
http://blog-imgs-42.fc2.com/g/u/i/guitarnokatawarade/img_957875_61185816_0.jpeg


映画 アラン・レネ「夜と霧」
[2017/07/30]

「夜と霧(1955年、仏)」は第二次世界大戦時、ナチスがアウシュヴィッツのユダヤ人強制風要所でユダヤ人を虐殺した事実を告発したドキュメンタリー映画。 監督はアラン・レネで、32分という短い作品ですが、コラージュを使ったモノクロとカラーが交互に往還する斬新な手法を用いています。 ホロコーストが題材ですが、内容や映像が生々しく、詩的、衝撃的です。映画というよりも映像作品と言ったほうがしっくりくる感じがします。 公開された1996年は第二次世界大戦から10年余り、観客は現在よりもっとリアリティを持って、この映画を観たのでしょう。 この作品の後、レネは1959年に「ヒロシマ・モナムール」で原爆の問題を作品化しています。
2017年7月26日は、「相模原障害者施設殺傷事件」が起こってから1年が経ちます。しかし、容疑者・植松聖はいまだに自分の行為を正当化しているようです。 彼の主張の裏には障害者の人格を認めない、ナチズムに通じる優生思想があります。マスコミが騒ぐだけでは問題解決にはなりません。 彼がなぜ障害者を殺さなければならなかったかという理由を隠さずに公判を実施しなければ、問題の本質は見えないでしょう。 人間が他者を認める寛容の精神を持つようになるには膨大なエネルギーと時間がかかりそうです。

写真:http://blog-imgs-66-origin.fc2.com/m/o/v/moviepamphletlabo/20140308115213d1a.jpg


上へ戻る   ホーム