読書・ビデオ鑑賞 2016年8月

リドリー・スコット 「大聖堂」 (2010年)
[2016/08/28]

ケン・フォレットの小説をドラマ化したもの。ホワイトシップ号の遭難からカンタベリー大司教暗殺事件まで、1130年代のイギリスが舞台となっています。
架空の町キングスブリッジを舞台に、石工一家の大聖堂建築の物語と前領主の遺児の復讐劇、ホワイトシップ号事件の裏に隠された司教の陰謀が交錯します。 13世紀における、教会、領主、国王の権謀術数を駆使した政治闘争の凄まじさが伝わって来ます。
また、十字軍によってもたらされたユークリッドの幾何学が、ロマネスク建築からゴシック建築へと建築様式を変化させた様子もよく描かれています。 十字軍遠征による科学技術の再発見は後のルネッサンスにつながりました。12世紀の西洋都市の様相が良くわかりました。

オリバー・ストーン 「アレキサンダー」 (2004年)

アレクサンドロス大王の東方遠征を描いた映画です。
ペルシアを破ったアレクサンドロス3世は中東からインド北部にかけて、支配した地域に植民都市を築きました。 これにより、ギリシア彫刻や、哲学がアジア地域に広まり、ヘレニズム文化が開花します。
また、後に十字軍遠征によって西洋で失われた科学、哲学が再発見され、「大聖堂」で描かれているゴシック建築や、その後のルネッサンス文化が興隆するきっかけになりました。


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「Pink Floyd The Wall」
[2016/08/21]

「The Wall」は英国のロックバンド”Pink Floyd”のアルバム”The Wall”を映画化したロック・オペラ。 1970年代、レッド・ツェッペリンやピンクフロイドなど、高度なテクニックを駆使して演奏する商業主義的なロックへの反動から、Sex PistolsやThe Clashなどパンクが流行しました。”I hate PINK FLOYD”と呼ばれ、パンクから目の敵にされたPink Floydは彼らに対抗して発表したのが”The Wall”でした。完成度の高い作品に人々は魅了され、”The Wall”は全世界で3000万枚以上の驚異的ヒットとなります。パンクから商業特区へと音楽の流れを引き戻した、サブカルチャー史に残る名作です。
The Wallの主題である社会や学校教育で受ける抑圧や疎外感は、社会学の重要なテーマでもあります。 ”All you is just a another brick in the wall”という歌詞に象徴されるように、社会に生きる我々は、社会性を内在化し、社会の一部となることを強いられます。 ホックシールドが「管理される心」でのべているように、 現代社会では、湧き上がる自らの感情を押し殺し、その場に適した感情を抱くことが求められます。 The Wallは、人生の中でこうした社会性を身に着ける際に経験する葛藤を描いた作品です。まさに今、この葛藤のただ中にある私には大いに共感できる映画でした。

ビデオ鑑賞   映画
「Pink Floyd The Wall (アラン・パーカー監督 1982年)」
「イージー・ライダー (デニス・ホッパー監督 1969年)」

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「シン・ゴジラ」
[2016/08/14]

子供のころ、私はゴジラを見て育った父に連れられて、毎年、映画館にゴジラを見に行っていました。初めて見たのは5歳の時、「ゴジラ対メガギラス」です。興行成績の悪化から、ゴジラ・シリーズは2004年を最後に制作が中止されていました。2014年、米国で「GODZILLA」が公開され、世界的なヒットになりました。「シン・ゴジラ」も「GODZILLA」同様、福島原発事故をモチーフにした作品です。
今作の主人公は官僚で、日本政府の官僚がゴジラに立ち向かいます。劇中には津波が街を飲み込む姿や、ポンプ車で原発に注水する姿などの原発事故当時の映像をモデルにしたシーンが数多くあります。「想定外の事態だから」、「現地に行ってみなければわからない」などのセリフが、3.11当時の政権の対応を皮肉する描写もありました。
しかし、映画の中盤からは、ゴジラの襲来を機に、覚悟を決め、一命を賭して国民の命を守ろうという政治家や官僚、自衛官たちの姿が描かれています。核兵器を使おうとする米軍や国連の圧力に屈せず、非核の道を貫こうとする日本人の姿も感動的です。
政治体制や尖閣問題、国会前デモへの皮肉など、なかなかウィットに富んだ作品で、私はシン・ゴジラが気に入っています。これまでのゴジラ・シリーズと異なり、シン・ゴジラはエヴァンゲリオンのように、庵野監督の作風が色濃くでていました。「日本もまだまだやれる」そんな活力が沸いてくる作品です。もう一回見にいきたいな。

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期末期間中ある学生の会話
[2016/08/07]

期末期間、学生の話題はテスト一色になりますが、こんな会話を耳にしました。

法学部生の会話「試験対策に参考書買った。分かりやすいよ」
文学部生の会話「ねえ、期末試験の勉強に教科書いるの?」

このような言動から、文学部は「あそぶんがくぶ(遊ぶ+文学部)」と言われるのでしょう(笑)。 法学部の学生は参考書まで買ってまじめに勉強しているのに、文学部生は教科書もろくに勉強しないのか、そんな批判が聞こえてきそうです。 文学部生の名誉のために弁解すると、文学部の学生は真面目に(自分の好きな)勉強をしています。ただ、この会話には文学部の性質が端的に表れていると思います。 知識の暗記が重要な法学部では、重要な事項をどれだけ効率よく覚えられるかが試験対策の要となるので、参考書は有用。 文学部ではそれよりも、いかに体験し、思考し、理論を打ち立て、文章化して伝えるかが重要視されるため、試験で、知識そのものが問われることあまりありません。 そのため、教科書はともかく、参考書の必要性は法学部に比べて薄いのです。期末試験でも、文学部では他学部に比べて筆記試験より、レポートの割合が多いようです。
抽象的なことを扱う文学部は、普段から多様なものに触れ、感覚や感性を磨かなければならない学部です。


インド映画「踊るマハラジャ」、「ロボット」、「ミルカ」
[2016/08/01]

文化人類学特殊(現代インド文化研究)のレポートのために「インド映画」を見ました。 当初の計画では10年分くらいの映画を見ようと思っていたのですが、インド映画は上映時間が3時間と長いので、90年代、00年代、10年代の映画の中から一本ずつ、日本でもなじみのあるものを選んで鑑賞しました。 見たのは1995年に公開され、インド映画の代名詞となった「ムトゥ 踊るマハラジャ」、2000年代に公開されたSF作品「ロボット」、そして2012年に公開の「ミルカ」です。
これらの映画を見ると、時代を経るにつれて、踊りや音楽と中心とした虚構性が高い、享楽的なものから、より現実的で社会派のものへとインド映画が変化していることが分かります。 「踊るマハラジャ」に代表されるように、これまで、インド映画=踊りのイメージが、ありました。 しかし、最近では「ミルカ」のように印パ対立を扱ったものや、カーストによる差別、貧困などを扱った「新感覚インド映画」が台頭してきています。
ハリウッドでは1970年代に社会体制に抑圧される若者の現実を描いた「アメリカン・ニューシネマ」が盛んにつくられましたが、現在のインドの姿は反戦運動や公民権運動、フェミニズム運動が盛んになった、当時のアメリカと重なることこがあります。 現代では、経済発展の一方で、格差拡大、差別など社会問題が表面化しているのではないでしょうか。

ビデオ鑑賞   映画
「踊るマハラジャ (K.S. ラヴィクマール監督 1995年)」
「ロボット (シャンカール監督 2010年)」
「ミルカ (ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ監督 2012年)」

写真:https://www.amazon.co.jp/ムトゥ-踊るマハラジャ-Blu-ray-ラジニカーント/dp/B00ECVE7DO
http://mmpk.web.fc2.com/robot.htm
http://milkha-movie.com/


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