2018年6月19日~9月17日
東京国立近代美術館
東京国立近代美術館に「ゴードン・マッタ=クラーク展」を観に行きました。
ゴードン・マッタ=クラークは1970年代にニューヨークを拠点に活動した現代美術家です。
世界的に認められる前、35歳で夭折したため、日本では馴染みのない作家ですが、近年、彼の作品の再評価が始まり、世界的に注目されるようになりました。
クラークの代表作は取り壊し前の建物を切断した「ビルディング・カット」やアーティストによる食堂「フード」の経営など。
簡単に言うと、クラークはヒッピー後の都会のカウンターカルチャーを表現した作家。だからヒッピー文化とは一線を隔しています。
1970年代は冷戦でアメリカやソビエトの大国が小国に大きな影響を及ぼしていた時代、彼は大国としてのアメリカの物質的な文化とは違う面をアートで表現しました。
都会的なので映画でいうと、「イージー・ラーダー」よりは「卒業」や「真夜中のカーボーイ」の世界です。
村上春樹が描くような、ヒッピー後の都会のアートですが、今回の展覧会に展示された作品を見ると都会のアートも詩的、文学的だったことを感じることができます。
ただ、西海岸の長閑な雰囲気とは違って、ブルックリンなどの大都市は荒廃した様子が伝わってきます。
現代社会は経済や先端技術などを使って物質的、技術的な面ばかりを強調する作品が主流の時代。
その反動から、若いキューレーターなどはクラークを再評価するのでしょうか。カウンターカルチャーへの郷愁を感じる展覧会でした。
写真:http://www.onvisiting.com/2018/07/04/momat-20180619/
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/gmc/