2018年1月11日~3月25日
日本民藝館
土曜日、駒場東大前にある日本民藝館に行きました。別館の柳宗悦邸が公開されていたので、そこを見てから、本館の「棟方志功展」を見ました。
柳邸は一階が洋室、二階が和室になっており、1925年の和風建築ですが、ル・コルビュジェの建物のような感じがします。
ちなみに階段を上がったところには、洗面台がある。サヴォワ邸にそっくり。廊下からは部屋、ガラス張りの障子のような形の窓を通して中庭が望めるようになっています。
棟方志功の作品(特に仏を描いたもの)は、背景の模様や人物の描き方が15世紀のイスラム美術のようでした。
1950年代の作品の中にはキュビズムの影響を受けたものもあります。
民藝運動というと日本人の美術意識(工芸品や生活用品)の再評価というイメージがあったのですが、ヨーロッパから帰ってみると、民藝運動や作品がヨーロッパ芸術の影響を強く受けていることがわかります(和風だけどヨーロッパっぽい)。
ウイリアム・モリスの理論に沿った視点から日本人の「生活の美」の発見に努めたのでしょう。
ところで、棟方志功の写真、「おいしい生活」のような感じがしませんか。1980年代になると渋谷でパルコ文化が花開きます。
その土壌を日本民藝館と民藝運動が作ったように私には思えます。これは中央線沿いに文学者が住んでいて、書籍文化の中心地になったのと同じ構造です。
生活用品、日常に目を向けた民藝運動が日常生活の向上(ライフスタイル)をうたう「おいしい生活」になる。だから、下北沢は古着なり、レトロ趣味生活雑貨なり、若者の生活に根差した街となった。
パルコ文化は井の頭線の文化で渋谷、駒場東大前、下北沢、吉祥寺が中心。
余談ですが、パルコ文化は地方都市的な文化であることがわかります。
渋谷、下北を歩いていると、フランスの移民の街(マルセイユ)のような雰囲気があります。
ごちゃごちゃしているが、東京の下町のごちゃごちゃ感とは違う。田舎臭い。歩いている人も、都会人のふりをしていますが垢ぬけた感じがしない人が多いように見えます。
地方から東京に来たら、まず渋谷に行く。そこで創造されたのが「パルコ文化」でした。