美術・音楽 2018年1月

自然狩猟博物館、ユダヤ美術館、造幣局「Woman House」展、ルーブル美術館「イスラム部門」、
オルセー美術館、ロダン美術館、人類史博物館、建築博物館
[2018/01/28]

ユダヤ美術館

パリにいると日本では絶対に観ることのできない展覧会を見ることができます。 狩猟自然博物館、ユダヤ美術館、造幣局「Woman House」展に行き、珍しいジャンルの作品を見ました。 ユダヤ博物館は、ユダヤ教の歴史的遺物、絵画、ドレフィス事件関連の物を展示した美術館。 キリスト教では人物像や物語を描きますが、ユダヤ人は偶像崇拝をしないので、作品が何を表しているのか理解しにくい。「神には姿がない」ことを実感できます。
狩猟自然博物館、造幣局の「Woman House」展は両方とも現代美術の展覧会で、テーマは動物愛護とフェミニズム。 狩猟自然博物館の展覧会は、常設の展示品に作家がアクセントをつけて作品にするというユニークな展覧会でした。 「Woman House」展は、「明らかに、女性は家庭という監獄に閉じ込められていた」を掲げ、「家庭による女性の束縛と解放」をテーマにした作品が多数、出品されていました。 最近、セクハラに対抗する「Мe Тoo」運動も世界的に流行しています。 フランスのマクロン大統領夫妻はフェミニストなので、造幣局での展覧会が実現したのでしょう。 フェミニズムの目標は「女性の地位向上」、「家庭との別離」、「経済的自立」ですが、果たして、それが達成されて、現代社会がうまく行くかどうか。 作品を見て混乱したので、その後、癒しを求めてノートルダム大聖堂に行きました。


自然狩猟博物館

ユダヤ美術館

造幣局「Woman House」展

夜のノートルダム


2012年、ルーブル美術館内に「イスラム美術」のコーナーが新設されました。イスラム美術は日本では馴染みのないジャンルです。 展示室には7世紀から19世紀までの美術品が展示してあります。12世紀以降、イスラムでは文字を図案化したデザインが流行します。 西洋でも文字を図案化しますがキリスト教のデザインとはまったく違う感じ。文字と美術の考え方について比較、考察できたのが面白かったですね。 その後、彫刻部門に行きました。古代ギリシャからバロック時代の彫刻が所狭しと並んでいます。 ここでキリスト教美術とは違う、古代ギリシャの系譜の美術を見ることができます。


  イスラム工芸

イスラム鎧

イスラム工芸

古代ギリシャ 彫刻群

バロック彫刻


オルセー美術館に来るのは3度目ですが、今回は印象派の常設作品と特別展「ドガのデッサン展」を見ました。その中でもひときわ印象的だったのが、クロード・モネの「死の床のカミーユ」。モネの最初の妻カミーユの死の瞬間を描いた作品です。 時間経過による光の変化を主題にしていたモネは、生命のある肉体から死体になる人間の瞬間を描きました。画家としてのモネの生きざまを強く感じます。 それから印象に残ったのが、セザンヌの作品群。エクス・アン・プロヴァンスのセザンヌのアトリエに行ったことを思い出します。 「ドガのデッサン展」は、ポール・ヴァレリーの著作「ドガ・ダンス・デッサン」を基に、バレリーナの動きに焦点を絞った展覧会。 それをアニメーションや映画の登場と結びつけて展示してあります。印象派の絵画を見ると、19世紀は自然や人の動き、変化をとらえることを主題にしていることがわかります。 それに影響を与えたのは、もちろんジャポニズムです。
オルセー美術館に行った後、ロダン美術館に行きました。 ロダンの彫刻は微笑みや憂いなど、人間の細やかな表情が表現されていますが、クローデルと出会った後の作品は、男女の恋愛がモチーフとなります。これは永遠のテーマです。


  「死の床のカミーユ」

オルセー美術館 セザンヌ

特別展「ドガのデッサン展」

ロダン美術館


人類博物館はパリ万博でメイン会場となったシャイヨー宮の中にあります。 ここには性や宗教、死後の世界、民族的なシンボル、人体の捉え方などをテーマにした美術品、工芸品が展示されています。 民族的なシンボル(偶像やブッダ、マリアなど)や人体のとらえ方(五臓六腑や解剖学、魔術)、各民族の身体や性、生活、宗教、死後の世界のコーナーが興味深かったです。 展示品を見ていると、フランスの博物学が民俗学と深い関係があることがわかります。
建築博物館にはロマネスク、バロックから近代建築に至るまでのフランスの建築様式が紹介されています。 教会建築コーナーにはファサードや柱を型取りして再現したものがあり、各地の建築物の様子を体験することができます。 中でも教会の内部壁画を再現したコーナーは見事でした。 近代建築のコーナーに、コルビジェのホテルを再現した部屋があったのですが、マルセイユでそこに泊まったことを思い出しました。


  シャイヨー宮

人類博物館

建築博物館

コルビジェのホテル

キリスト教会内の静けさ、ルーブル美術館、ドラクロア記念館、クリュニー美術館
[2018/01/21]

サント・シャペル教会

パリにあるキリスト教会に入ると外とは全く違う世界が広がっています。教会はノートルダム大聖堂やサクレ・クール 寺院など有名な教会以外は静かです。 私は落ち着いた気持ちになりたい時、教会の椅子に座って瞑想にふけっています。
それにしてもノートルダム大聖堂の複雑な屋根の装飾、バラ窓、サント・シャペル教会の美しいステンドグラス、凄かったですね。 世界的に名声を博すだけの美術品であることが理解できます。


マドレーヌ教会

サクレ・クール 寺院 内部

サン・ジェルマン・デ・プレ

サン・シュルルピス内部

サン・ロック内部

ノートルダム大聖堂 内部

ノートルダム大聖堂 外部

クリュニー美術館展示品


軍事博物館、ルーブル美術館(エジプト・メソポタミア部門)、ドラクロア美術館、クリュニー美術館に行きました。 軍事博物館にはフランソワ1世の剣、ナポレオンⅢ世の法衣、クリュニー美術館にはノートルダム大聖堂、サンジェルマン・デ・プレ聖堂にあったオリジナル彫刻、有名な「貴婦人と一角獣」のタペストリーがあります。 ルーブル美術館では、エジプトとメソポタミアの美術品を見ました。 大英博物館でも見たのですが、ルーブル美術館の方がゆったりと鑑賞できる感じがします。 それにしても圧倒的な美術品の数、古代文明の美術を体感できました。 古代文明の美術品を見た後、ドラクロア記念館の展示品を見ると1830年代頃、パリでオリエンタリズムが流行していたことが理解できます。 この時代に帝国主義(植民地経営の本格化)が始まったことがわかります。


  ナポレオン3世の法衣

フランソワ1世の剣

ルーブル・エジプト美術

翼のついた雄牛像

ハンムラビ法典

ドラクロア「サルダナパルの死」

グランパレのダニエル・ビュラン、ゴーギャン展、ルーブル美術館、モンマルトル美術館
[2018/01/14]

ゴーギャン展

グランパレのダニエル・ビュランのオブジェを見て、ゴーギャン展、ルーブル美術館、モンマルトル美術館に行きました。
グラン・パレで開催されている「ゴーギャン展」は1989年以来の回顧展で、ゴーギャンの民俗学、文化人類学的な面に焦点を当ててた展覧会です。 絵画、彫刻、デッサンと共にブルターニュ地方の木靴、タヒチ時代のゴーギャン家の門、タヒチの神像などの展示品もあり、それを見るとゴーギャンが民族運動やアート・アンド・クラフツの先駆けであることがわかります。 彼の思想は根本的にキリスト教なのですが、作品を見ていると「旧約聖書・創成期」の影響を見て取ることができます。 ゴーギャンにとってタヒチの女性はイブだったのでしょう。入場まで30分待たされた人気のある展覧会だけあって面白かったです。


(左)ルーブル美術館 (右)パレ・ロワイヤル

ルーブル美術館では古代ギリシャ、ローマのコーナーを廻りました。 ギリシャの美術は古い方が抽象的で、新し時代になるほど写実的になります。 古代ギリシャの初期の彫刻類は、ピカソやブランクーシなどの現代彫刻に通じるものがあります。 これから1か月、ルーブル美術館に通うつもりですが、圧倒的な作品数なので何度も来ることになるでしょう。 ちなみにパリの美術館は学生証を見せると無料なのでうれしいですね。 ところでパリにはルーブル美術館とガラスのピラミッド、パレ・ロワイヤルの中庭にあるダニエル・ビュランのオブジェと王宮など、過去と現在を融合させた独特の空間があります。 それを見ると本質的な美術は時間を超えてマッチすることがわかります。


プレ・ギリシャ彫刻

ミロのヴィーナス

古代ローマ彫刻

モザイク室

モンマルトル美術館

モンマルトル美術館は17世紀に建てられたモンマルトル最古の邸宅で、邸内にあったアトリエでルノアールは代表作「ムーラン・ド・ギャレット」を制作しています。 美術館内にはヴァラドンと息子ユトリロのアトリエが再現され、「オ・ラパン・アジル」のオリジナル看板、「シャ・ノアール」のポスター類、映画「アメリ」など、モンマルトルに関連する展示品がたくさん飾ってあります。 日本にも地元の資料館があるのですが、モンマルトル美術館は世界に通じる資料館です。 それだけモンマルトルの文化レベルは高く、影響力が大きいということですね。


シャノアールのポスター

ユトリロのアトリエ

レンチ・カンカン

ルノアール「ムーラン・ド・ギャレット」

ポンピドゥーセンター、ギュスターブ・モロー、オルセー、オランジェリー、ピカソ美術館
[2018/01/07]

ギュスターブ・モロー美術館

5日(金)、ギュスターブ・モロー美術館、6日(土)にオルセー美術館、オランジェリー美術館、7日(日)にピカソ美術館、ポンピドゥーセンター(国立近代美術館)を廻りました。 3日間で大量の美術作品を見たのですが、さすが芸術の都パリ。作品の質の良さに圧倒されます。 ロンドンでも大量の作品を見ましたが、フランスとイギリスでは美意識が大きく違うことを感じます。国家を上げて文化政策をするフランスは、やはり文化大国。
ギュスターブ・モロー美術館はホームステイ先から5分の距離にある美術館にあります。近所にこのような美術館があるので便利ですね。 モロー美術館では、フランスの象徴主義とイギリスのラファエロ前派の違いについて考察しました。 セザンヌやルノアールのアトリエと違ってモローのアトリエはたくさんの自作で飾られている。 さながら象徴派の教会内にいるような気分になります。
6日、7日、オルセー、オランジェリー、近代美術館を廻ったのですが、フランスの近・現代美術の概要に触れることができました。 フランス美術はアングル、ドラクロアなどのロマン主義から始まり、モネやセザンヌ、ルノアールの印象派、ゴッホやゴーギャンのような後期印象派、キュビズムとフォーズム、コンテンポラリー、戦後の現代美術を展開します。 10年単位で作風の変遷を観察すると、時代のことがよく理解できます。

ところで、イギリスでは美術館、博物館は無料ですが、教会は有料です。フランスは、教会はただですが美術館、博物館は有料。 イギリスの美術館、博物館のコレクションは海外の領土から集めてきた収集品や貴族のコレクションなどで、それがイギリス王室の象徴のようなもの。 イギリスの美術館、博物館は公に開かれていて、民衆はそれを無償で享受でき、教会は権威、あるいは(政治的に)崇拝の対象にはならないので有料。 逆にフランスはカトリックの国なので、美術館は有料ですが、教会に行けば誰でも無料で美術(宗教美術)に接することができます。 日本の場合、美術・博物館、寺社も有料ですが、神社は無料なので、日本は神道の国だと考えられます。 国の文化施設の営業様式を考察すると、その国の文化を理解することができるので面白いですね。


オルセー美術館

オランジェリー美術館

ポンピドゥーセンター(国立近代美術館)

ヨーゼフ・ボイス

ワシリー・カンディンスキー

マルセル・デュシャン

ジャン=ピエール・レイノー

ピカソ美術館

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