美術・音楽 2017年12月

モワサック、コート・ダジュールの美術館
[2017/12/31]

23日(土)、ボルドーに向かう途中、ロマネスク彫刻のファッサードで有名なモワサックのサン・ピエール修道院に行きました。 この教会の8世紀に作られたファッサードの装飾彫刻は凄い。さすが世界遺産に指定されるだけのファッサードさと思いました。 ところで、私はモワサックでまたうっかりミスを犯し、世界遺産である11世紀に作られたサン・ピエール修道院の回廊を見損ねてしまいました。 リヨン・ビエンナーレ、ヴァロリスに継ぐ失敗です。行った先で、世界遺産を見逃すとは……。


27日、カンヌのカストル博物館、アンディーブのピカソ美術館、アンディーブ考古学博物館に行きました。 カストル博物館は民俗学的な博物館で特にアフリカ美術のコレクションが充実しています。 ピカソ美術館は1946年頃、ピカソが住んでいたグルマルディ城を改装した美術館で、有名な「生きる喜び」をはじめ、ピカソのデッサンや油絵、陶芸だけでなく、ド・スタール、アルマンなどの現代美術家の作品が展示してあります。 ピカソが住んでいた屋敷で作品を見ると、美術館で見る作品とは違った印象、作品をより身近に感じることができます。アンディーブはフランスと旧サボォワの国境に城塞都市。 考古学博物館の展示物を見るとアンディーブが海洋貿易で栄えたことがわかります。


ピカソ美術館

カストル博物館

アンディーブ考古学博物館


28日は、カーニュ・シュル・メールにあるルノアールの晩年のアトリエ、ニースのマティス美術館、シャガール美術館、29日にはマントンにあるジャン・コクトー美術館、コクトーの結婚の間、30日はニース近・現代美術館に行き、イブ・クラインの部屋を観ました。 圧巻だったのはマントンにある「コクトーの結婚の間」、壁画で装飾された部屋は圧倒的な存在感があり、コクトーの芸術家としての才能を感じることができます。 上質な芸術に触れると、感性が豊かになるので楽しい。

ところで、28日、シャガール美術館に行ったのですが、その時はシャガール芸術の良さが理解できませんでした。それでシャガールの生涯を調べた後、30日に美術館を再訪しました。その時はシャガール芸術の本質に触れることができ、感動しました。数日間で作家の見方が変わったは初めての体験です。やっぱり、美術館に行く前には画家に対する予備知識が必要ですね。


ルノアールの家

シャガール美術館

マティス美術館

ジャン・コクトー要塞美術館

コクトー結婚の間

ニース近現代美術館 イブ・クライン

「リヨン・ビエンナーレ」、2つのコンサート
[2017/12/24]

12日(火)に、リヨンに「リヨン・ビエンナーレ」に行きました。前回、リヨンに来た時、勘違いで見逃した展覧会です。 ビエンナーレ会場は3か所あるのですが、中でもリヨン現代美術館はマルセル・デュシャンやナムジュン・パイクの作品も展示されていて見ごたえがありました。 やっぱり作家の個性を感じさせる作品が私は好きです。作品の多くは1970前後生まれの作家のもので、どの作品もインパクトと物質感を重視しています。 一見、多様性があるように見えて、イベントの要素が中心。非日常を、空間的に体感させる領域が多く、個人の美意識をあまり感じることができません。 近年、各地でビエンナーレ、トリエンナーレが開催されていますが、観光客を呼ぶために美術も資本主義の中に組み込まれ、知的に遊べる大人の遊園地を出現させるのが現代美術作家であるような感じがします。 その資金は昔、箱もの行政に費やされた助成金で,市の文化事業と称して美術業界へ流れ込んでいる。外見よりも(変な物を作る)中身の時代か?
どの地方も日常空間を変容させるのに一生懸命。ここ10年の現代美術は「非日常的な町おこし」が中心となっているようですね。


15日(金)、アヴィニョン・プロヴァンサル管弦楽団とコート・ダジュール合唱団の「ベートーベン交響曲第9番」、「ドビッシーのペレアスとメリサンドの中から数曲」を聴きました。 「第九」を聴くと年末の感じがします。しかし、アヴィニョンで神聖ローマ帝国の音楽のようなベートーベンを聴くのはちょっと違和感がある。 荘厳ですが、フランスの作曲家のような明るさがありません。 「第九」は日本で聴くのとも感じが違います。同じ曲でも聴く場所によって曲の感じが変わるのですね。

16日(土)、ヴィヴァルディやシャルパンティエの歌劇「PASTORALE SUR LA NATIVE」を観ました。 キリスト教の祈祷書に関連する物語ですが、このような歌劇は教会でやるに限ります。 教会は石造りなので音響は良く、雰囲気が宗教的。中世の人たちも、現在の私のような感じで歌劇を楽しんでいたのでしょう。18世紀と16世紀を1度に楽しめた2日間でした。

写真:https://imgcp.aacdn.jp/img-a/800/auto/aa/gm/article/4/3/6/4/0/8/be.jpg
https://blogs.yahoo.co.jp/gustav_xxx_2003/folder/1510149.html?p=1


マルセイユ現代美術館「HIP-HOP展」
[2017/12/17]

マルセイユ現代美術館で開かれている「HIP-HOP展」に行きました。マルセイユは移民が多いので、ブレイクダンスの大会やラップのコンサートなど盛んに開かれています。 街を歩けば至るところに落書きがあり、マルセイユがヒップホップの街であることがわかります。
展覧会ではHIP-HOPのルーツであるアメリカ黒人音楽やジェームズ・ブラウン、 路上で音楽を混ぜたDJの登場、ブラックパワー、エネミーオブ・ネーションの世界などが展示されており、バスキアやキース・ヘイリングもヒップホップの作家として紹介されていました。 フランスのHIP-HOPの中に、メッカやイスラム教に関するラップがあるのは興味深いですね。
マルセイユ現代美術館の常設展には、現代フランスの中堅作家の作品が展示してありました。 物質感、社会性が強い作品が多く、現代社会の資本主義的、文明的側面を暴き出した感があります。 このような傾向は世界共通の美術の題材。ここに癒しがないので、何か物足りない。現代社会は人間が物質やSNSに押しつぶされる社会なのでしょうか。


「HIP-HOP展」

常設展

リヨンの美術館・博物館
[2017/12/10]

ノートルダム・ド・フールヴィエール・バシリカ教会内部

フールヴィエールの丘にあるノートルダム・ド・フールヴィエール・バシリカ教会は装飾が豪華絢爛、大きな教会です。 壁にはジャンヌ・ダルクの戦いなど、聖人の逸話がモザイクで彫られています。 ガロ・ローマン文化博物館は、ラ・ディフェンス地区の近代建築を手掛けたベルナード・ゼーフスが設計した地下博物館。 建物が丘に埋まっていて地下にあるのがカッコ良い。コレクションも膨大で、水道橋の展示や古代のポンプなど水技術に関する特別展示展がありました。 ルグドゥヌム出身のクラウディウス帝がガリア人の元老院議員議席資格を元老院に認めさせたときの演説を記した銅板やガリア語で書かれた(ガリア語が文章で残っていることは殆どありません)暦の銅板がありました。 これは太陰暦で宗教的な儀式の日にちを確認するために作られたものだそうです。


ガロ・ローマン文化博物館

ローマンガラス

ガリア語の銅板

ベルナード・ゼーフス設計 地下博物館

コンフルエンス博物館

コンフルエンス博物館はガラス張りの現代建築の博物館。Touaregsの企画展、毒の展示、リュミエール兄弟の企画展をやっていました。 リュミエール兄弟がコレクションしたガラス絵やくるくる回って絵が動く機械などが展示してあります。 絵を連続で見せて動画すにする手法やそれに光を当ててプロジェクションする手法が映画の発明に大きく関わっているのですね。 展覧会場では最初期の有名な映画「工場の出口」、バレーや曲芸、街の様子、家族の様子などが上映されていました。50秒程度の映像ですがなかなか面白い。
現在、リュミエール兄弟の住んでいた建物は博物館となっています。アールデコ調の建物で外観が日本の城のようです。 展示物の多くは、コンフルエンス博物館へ貸し出されていましたが、映画が解説付きで上映されていました。


コンフルエンス博物館 常設展

リュミエール兄弟の企画展

リュミエール映画博物館

印刷・グラフィックコミュニケーション博物館

リヨン美術館には19世紀の日本美術コレクションの展示ブースがあります。その次がアール・ヌーボーの部屋。ジャポニスムとアール・ヌーボーの関係を解説するために、2つの部屋が並んでいます。2つの部屋を見比べると、アール・ヌーボーが日本の影響を受けていることがよくわかります。納得。
リヨン歴史博物館には、古代から現代にかけてリヨンの歴史を追って展示品が並べてありました。 ガリアの首都ルグドゥヌムから中世キリスト教世界、宗教改革の波とカトリックの勝利、印刷業、金融業の発達(今もLCLがあります)や、織物工業の発達、フリーメイソン、リュミエール兄弟の映画など、リヨンの成り立ちがよくわかります。 印刷・グラフィックコミュニケーション博物館もユニークな博物館。 リヨンは2000年の歴史を体感できる美術館・博物館が巧みに配置されいます。
マリオネット博物館もなかなか面白かったです。マリオネットは日本人にとって紙芝居のようなものでしょうか。現代っ子の私でも保育園で紙芝居を見た記憶があります。子供の頃に見た紙芝居を久しぶりに思い出しました。人形が立ち回るのではなくて、絵で動きや躍動感が表現される。さすが漫画の国、日本。
ところで、Bouchon Lyonais(リヨンの良質なレストランを示すマーク)のロゴになっている髭面、赤鼻のおじさん。何かと思っていたら、あれはマリオネットですね。みなさんもリヨンに行ったら、このマークのあるレストランに入ってください。美味しいですよ。


マリオネット博物館

リヨン歴史博物館

リヨン美術館

リヨンの良質なレストランを示すマーク

マルセイユ歴史博物館
[2017/12/03]

マルセイユ歴史博物館

マルセイユのサン・シャルル駅を出た時、非フランス語を話す人たちだらけで、ちょっとヤバいなという感じでしたが、さすがに美術館に入ると身なりのきちんとした人や観光客がいて安心できます。 このような体験もふくめて、マルセイユの美術館・博物館巡りは印象深いものになりました。 最初に行ったのは「マルセイユ歴史博物館」。 1967年、ショッピング・センターの建設中、突然、地面の中から古代ローマ時代の遺跡が出土、それがそのまま博物館になりました。 しかし、私立博物館は予算不足なのか、覇気がなく閑散とした感じがします。展示内容も今一つ。 古代ローマ時代、マルセイユはマッセリアと呼ばれたガリアの中心都市でしたが、観光客はマルセイユに考古学的なものを求めていないようです。 一方、2013年にオープンした「ヨーロッパ地中海文明博物館」は建物も斬新(設計者リュディ・リチィオッティ)、活気がありました。 この日は地中海文明を紹介する常設展の他、「FOOT」、サッカーの企画展をやっていました。 マルセイユにはエブラの属している人気チーム「オリンピック・マルセイユ」があります。 「PASSION」と題されたコーナーではスタジアムの熱気を体験でき(会場が蒸し暑い中で展示品を見る、歓声が巻き起こる)、興味深い展示の仕方がしてありました。 プレミア・リーグ同様、フランス人のサッカーに対する気持ちも熱いですね。 この博物館はサン・ジャン要塞と空中通路で結ばれているのですが、この日は強い風が吹いていて、歩いているだけでふらふらしました。 博物館で、恐怖のアトラクションを体験をした感じでした。(写真 右)


マルセイユ歴史博物館

ヨーロッパ地中海文明博物館 常設展示

ヨーロッパ地中海文明博物館

「FOOТ」サッカーの企画展

ザン国立バレエ団の「白鳥の湖」、コンセルバトワール・ダヴィニョンの「スコットランド民謡」、マルク・モーロンとアンジェリック・モーロンのバロック音楽(フィレンツェの歌曲)を観に行きました。 バレエを見るのは生まれて初めて、現代舞踏やダンスとは違った身体の動きや使い方が美しく、物語に加えてパフォーマンスとしての面白さがありました。 近代絵画を立体的に表現した感じがします。 モーロンのコンサートは、ハープに合わせて歌曲を歌う17世紀前後のバロック音楽の演奏会。 落ち着いた雰囲気で、アンコールを2回やりました。歌曲も英語やドイツ語の曲に比べて、フランス語やスペイン語などラテン語で歌う曲のほうが綺麗。 イタリア語が歌に最も向いている言語だと誰かが話していました。 民族音楽やその旋律を元にした曲は別ですが、西洋音楽、歌曲の基礎はラテン文化から来ているのでしょう。


白鳥の湖

スコットランド民謡

モーロンのバロック音楽

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