美術・音楽 2017年11月

セザンヌの世界
[2017/11/26]

セザンヌの写真

エクス・アン・プロヴァンスと言えば、誰でもセザンヌの描いたサント・ヴィクトワール山を思い浮かべるでしょう。この山はエクスのどこからでも見ることができます。
エクスには「セザンヌのアトリエ」、「ビベミュスの石切り場」、「セザンヌの生家」など、セザンヌに関係する観光地がたくさんあります。それをまる1日かけて廻りました。町を廻って感じたことは、そこかしこにセザンヌの描いた風景があるということです。不思議なのは絵に描かれた世界の方が、写真や目の前にある現実の風景よりもリアリティがあるということ。空気感のあるセザンヌの作品と目の前の風景が重なって絵の中に入ったような気分になります。絵画を見て、このような体験をしたのは初めてです。セザンヌが写実より、物の本質や存在感を描くことを優先したので、私たちはセザンヌの作品を目の前にした時、このような感覚を味わえるのでしょう。
それにしても、「セザンヌのアトリエ」は素晴らしかった。絵を描くために改装(直接日光が入ったり、時間によって物の色が変わるのを防ぐために光は北側から入れる。壁の色はオブジェの色に影響を与えないように灰色に塗られて、床も同様の理由でタイルがはがされフローリングになっている)したアトリエは、光の入り方や配色が工夫されていて、何時間でも座って眺めていられます。これは小津安二郎の映画のセットに似ています。絶妙な光に満たされているので、写真が綺麗に写る。
アトリエにはセザンヌが使っていた道具や衣服、静物画に使ったオブジェ、モネに宛てて描いた手紙など、当時のまま残されていました。アトリエを管理している人が親切で、レ・ローブの行き方を教えてくれたり、グラネ美術館でセザンヌの企画展が開かれていることを教えてくれました。美術好きなので他の話題に比べて、フランス人が何を話しているかよく分かります。その後、「ビベミュスの石切り場ツアー」に参加し、ビベミュスの石切り場、セザンヌがアトリエを立てた場所、彼が所有していた小屋などを廻りました。エクスの空は青、大地は赤、サント・ヴィクトワール山は白ですが、このコントラストをセザンヌが巧みに絵画にしたようです。色彩が鮮やかなので、描くだけで絵になるのかもしれません。風景が幾何学的で、ビベミュスに来て、なぜキュビズムが生まれたかが理解できました。
その他にもセザンヌの生家やジャ・ド・ブッフォン、住んでいた家や最期を迎えた家、妹、母の家、サン・ピエール墓地の墓などを廻ったのですが、私自身、ここまでセザンヌに魅了されるとは思いませんでした。エクスに来て、本当に良かった。



ビベミュスの石切り場


サント・ヴィクトワール山


サント・ヴィクトワール山

セザンヌのアトリエ

セザンヌの墓

 

手紙やデッサン (グラネ美術館)

セザンヌの家

水浴 (グラネ美術館)

古代ローマ美術とロマネスク美術
[2017/11/19]

ポン・ドュ・ガール 水道橋

南フランスで体験した古代ローマ美術と中世のキリスト教美術についてまとめてみます。古代ローマの美術と中世の美術を見比べて一番違うところは題材。 古代ローマ美術は神々と皇帝が、中世になるとキリストを中心にした聖人たちの生涯が彫像や絵画の主題となります。 南フランスの町を廻ると、どの町にも聖人を祀る教会があり、町は教会を中心に発展しました。 日本でいうところの寺内町ですが、日本は教祖を祀るよりも抽象的な仏を祀る傾向が強いので、それは古代ローマに近い感覚でしょう。
こっちで古代ローマとロマネスク文化を比べて考察すると、歴史的な価値感の転換が生み出す効果が絶大なことが理解できます。 新しい価値観が広がれば、世界の仕組み、それに合わせて建物や技術も変わる。ガリアにローマ人が来てパクス・ロマーナで道路、劇場、闘技場を造り、人々に市民権を与えて地域を変えた。 その後、ガリアにキリスト教は広まると巨大なロマネスク教会がどんどん建てられ、奇跡を求めて全国から人が巡礼に訪れるようになった。 その上に近現代の社会が築かれている。
中世、南フランスは巡礼の道のネットワークが構築されます。 江戸時代、参勤交代で江戸に来た武士が江戸の文化を地方に流入させたように、中世の南フランスでは巡礼者たちが文化を各地に運びました。 革命や疫病などの問題も伝播したので、それに対処するために近代国家が生まれたようです。 人の移動は現在社会においても大きな問題の一つとなっています。 写真は左が先史、中が古代ローマ、右が中世。南フランスは、それを一度に体感できるのから面白いですね。

セナンク修道院





ロマネスク美術



ローマ美術

先史美術

11月11日(土)にSamuel Beckets作の「La dernière bande」を観に行きました。 酒におぼれて精神がおかしくなった道化と、テープに録音された道化の朗読詩がだんだん乱れて行く様子をオーバーラップさせた演劇です。 道化を演じるJacques Weberが動作や声の使い方、息遣いが精神状態を見事に表現しており、正気から狂気へと変わるのがわかる素晴らしい演技でした。 言葉が理解できなくても演劇は身体表現で理解できるということを知って、私の演劇観は大きく変わりました。

写真:https://www.sceneweb.fr/wp-content/uploads/2017/06/francois-small-dit-smol-dans-la-derniere-bande-de-samuel-beckett.jpg
http://www.wein-1963.de/wein-mouton-1963.html
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/413MZH90EBL._SY344_BO1,204,203,200_.jpg


ボルドーの美術館・博物館
[2017/11/12]

シテ・デュ・ヴァン

ボルドーで、アキテーヌの先史時代から現代までの歴史遺物を展示する「アキテーヌ博物館」、イタリア・ルネッサンスから18世紀のボルドーの画家の作品を展示する「ボルドー美術館」、1970年代以降の現代美術を展示する「CAPC現代美術館」に行きました。 都会の美術館では古代から現代までの多くの作品を見ることができます。「アキテーヌ博物館」で古代と中世の作品を見たのですが、一番、 印象に残ったのは「奴隷貿易」で発展した港町のボルドー関係の展示物と革命期のジロンド党の展示品でした。 ショッキングな面もありますが、映像や展示物を見ていると、ボルドーのことが深く理解できます。 ジロンド党員が処刑されていく場面の絵画が順次、紹介されるのですが、このような映像を流すこと自体がフランスっぽいですね。 フランスは問題があっても、自分たちの歴史を博物館でちゃんと展示がしている感じがします。そこがちょっと日本と違う。
「CAPC現代美術館」は羊毛倉庫を改装した美術館です。現代美術の作品も質が良く、楽しむことができました。 ところで、ボルドーには2016年にオープンした「シテ・デュ・ヴァン」という外見がエスカルゴのようなユニークなワイン博物館があります。 散歩の途中、写真は撮ったのですが、時間が無かったので中を鑑賞することができませんでした。 クリスマスにボルドーに来る予定なので、その時には「シテ・デュ・ヴァン」を訪ねたいと思います。


CAPC現代美術館

ボルドー美術館

アキテーヌ博物館

トゥールーズ、アルビの美術館・博物館
[2017/11/05]

オーギュスタン美術館

トゥールーズではロマネスク様式の彫刻、絵画を所蔵する「オーギュスタン美術館」、 ピカソの巨大な舞台幕のある「レザバトワール近・現代美術館」、ブルジョワ趣味の「アセザ館」に行きました。
「レザバトワール近・現代美術館」は、屠畜場を改装した美術館で、歴史的建造物に指定されています。私が行った時は「コロンビア現代美術展」が行われていました。 現代美術展を見るのは久しぶりですが、世界遺産を見慣れた目で現代美術を見ると、少し物足りない感じがします。 「アセザ館」にあったモネやルノアールは存在感があるのに、現代美術は「これが美術?」というような感じ。現代美術の世界も衰えてきたのかもしれません。
キャピトルというのは1760年に完成したトゥルーズの市庁舎。内部は豪華な美術館のようです。
アルビで「トゥールーズ・ロートレック美術館」に行こうと思っていたのですが、11月1日は祝日(諸聖人の日)で休みでした。開館日を調べて行くべきだったと反省しています。

ルルド ロザリオ聖堂


キャピトル

レザバトワール近・現代美術館

レザバトワール近・現代美術館

アセザ館

アセザ館

アルビ サント・セシル大聖堂

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