美術・音楽 2017年10月

アングラドン美術館
[2017/10/29]

アヴィニョンには中世の絵画を展示する「プティ・パレ美術館」の他に、印象派の作品を展示した「アングラドン美術館」があります。
「アングラドン美術館」はパリの名コレクター、ジャック・ドゥセの収集品を相続したアングラドン・デュブルジョー夫妻が開いた個人美術館。 作品の数は多くありませんが、ゴッホの『線路上の汽車』、モジリアーニの『ピンクの服の少女』などを所蔵しています。 2階はアングラドン・デュブルジョー夫妻の住んでいた頃の雰囲気をそのまま残した博物館になっています。
このような個人美術館は国立美術館のように大規模ではありませんが、個人が生活の中でどのように美術に関わっていたかを知ることができ、身近で美術品を見ることができるのが面白いですね。

ところで、アヴィニョンに来て古代や中世の遺跡ばかり廻っていたので、ちょっと感覚がおかしくなっていました。たまに、このような近代美術に触れるとほっとします。 癒されたい時に気軽に立ち寄れる、これが地方の美術館の良さですね。



アングラドン夫妻の邸宅

ゴッホ 『線路上の汽車』

一般公開されてなかったセザンヌの静物画

中国の陶磁器

モジリアーニ
『ピンクの服の少女』

アフリカの部族面

ガブリエル・フォーレ「レクイエム」、「ラシーヌの雅歌」
[2017/10/22]

サンディエゴ教会
「オーケストラ・レジォナル・アヴィニョン・プロヴァンス」

10月13日(金)、アヴィニョン・オペラ劇場のシーズンが開幕したので、サンディエゴ教会に「オーケストラ・レジォナル・アヴィニョン・プロヴァンス」の今年最初の演奏曲、フォーレの「レクイエム」、「ラシーヌの雅歌」、マルティアル・カイユボットの「ECCE QUAM BONUM」を聴きに行きました。 指揮はディレクターのミッシェル・ピックマル、ソプラノはダフィネ・トッシェ、バリトンはリチャード・リットルマン。
ガブリエル・フォーレ(1845年~1924年)は、モーツァルト、ヴェルディの作品と共に三大レクイエムの一つを作曲したフランス人作曲家で、パリのマドレーヌ教会のオルガニストで、フランス国立音楽・演劇学校の教授でした。 作風はアール・ヌーボーの影響を受けた有機的な音楽で、フォーレ研究科のネクトゥーは「まがりくねり互いに絡み合った長いフレーズと常時現れる花にまつわる主題は1900年の芸術の象徴」と記しています。 「ラシーヌの雅歌」は、フォーレが劇作家ジャン・ラシーヌの詩に基づいて作曲した混成四部合唱のための合唱曲です。 マルティアル・カイユボット(1853年~1910年)は日本では馴染みのない印象派の作曲家、ピアニストで、有名な印象派画家カイユボットの弟です。彼の作品は、アヴィニョンで初めて聞きました。
音階や音色、強弱だけでなく、音には太い音と繊細な音があり、オーケストラ、合唱団ではそれを使い分けています。 今まで、女性パートの合唱の良さがわからなかったのですが、今回、その魅力を発見することができました。 男性のように太くあるいは細くても真のある音と違って、女性の声は細く繊細で、男性パートの高く細い音と絡めている曲目があり、浮遊感のある優しい音色が女性合唱の魅力的でした。
日曜日にも同じ演目に行ったのですが、金曜より日曜日の方が格段に良かった。前回に比べて各パートがまとまっていて、完成度が高くなっており、より心地良い演奏になっていました。 同じ演目でもここまで印象が違うとは……。早めに行って良い席を確保したかいがありました。


フォーレ

カイユボット兄弟(兄・弟)

ジャン・ラシーヌ

オーケストラ・レジォナル・アヴィニョン・プロヴァンス

写真:http://www.worldfolksong.com/classical/common/img/img_cla01/faure01.jpg
http://caillebotte.net/blog/wp-content/uploads/2009/01/screenshot_02.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d5/Jean_racine.jpg
http://xn--musical-t-i4ab.fr/portfolio/orchestre-regional-avignon-provence/


県立アルル博物館、ヴェゾン・ラ・ロメーヌ考古学博物館
[2017/10/15]

県立アルル博物館

古代ローマ遺跡巡りの最後に「県立アルル博物館」と「ヴェゾン・ラ・ロメーヌ考古学博物館」に行きました。
「県立アルル博物館」は外見はモダンですが、展示内容は充実しており、アルルの先史時代からで古代ローマ世界を楽しむことができます。 その中でも興味を惹いたのが、ローヌ川湖底から引き揚げられたローマ時代の31メートルの木造船。これを見ると、古代、アルルが貿易港だったことが理解できます。 その他にモザイクや金や銀器などが展示してあり、全体を通して見ると古代ローマ時代の生活を知ることができます。
「ヴェゾン・ラ・ロメーヌ考古学博物館」の見ものは、この町から発掘された「サビーナ像」や彫刻群です。 このような地方の博物館に、これだけのローマ彫刻があるのだから驚きです。 「すべての道はローマに通じる」と言われるように、現在の鉄道網とは違う幹線道が、にあったことがわかります。 この博物館は規模は小さいのですが、質の高く遺品が整理されて展示されており、好感が持てる博物館でした。 博物館を後にして、古代ローマの廃墟に佇むと、そのあたりに古代ローマ人の気配を感じます。このような瞬間を感じることができるのが観光の楽しさです。


発掘された土器

古代ローマの木造船

モザイクの部屋


ヴェゾン・ラ・ロメーヌで発掘された彫刻群
(左から)アウグストゥス・(中央)サビーナ・ハドリアヌス・クラウディウス

青銅アポロン

金のプレート

ゴッホの描いたサンレミ・ド・プロヴァンスとアルル、ヴァンゴッホ財団、エスパス・ヴァン・ゴッホ
[2017/10/08]

サン・ポール・ド・モーゾール修道院

耳を切ったゴッホはアルルの精神病院に入った後、サンレミ・ド・プロヴァンスにあるサン・ポール・ド・モーゾール修道院に入院、体調の良い時は外出し、サンレミの風景「糸杉のある麦畑」や「星月夜」など、1年間で150点を描きました。
先週、サン・ポール・ド・モーゾール修道院や絵を描いた場所に行き、ゴッホの足跡を辿りました。 修道院は日あたりが良い明るい感じがして、想像していたイメージと随分、異なっています。 ゴッホの部屋やロマネスクの内庭を見た後、ゴッホが絵を描いた地点をまわったのですが、景色が大きく変わった場所があります。 糸杉や麦畑があった場所に行くと景色がまったく違うので唖然としました。糸杉を観れると思っていたのに残念。 しかし、昔の風景がそのまま残っている場所に行くと、ゴッホと同じ視線で風景を見ることができ感慨深いものがあります。

サンレミに滞在する前、ゴッホはゴーギャンと一緒にアルルで生活し、「ひまわり」、「アルルの跳ね橋」、「夜のカフェテラス」など多くの傑作を描きました。 アルルには精神病院後に「エスパス・ド・ゴッホ」が建てられ、中庭が再現されています。
ゴッホの絵と実際の風景を見比べると、ゴッホが遠近感を変えたり、視点をずらしたり俯瞰したりして絵を描いているのが分かります。 写真よりもリアリティがあります。人間の視点に近い感覚で、絵を見ることができます。

「ヴァン・ゴッホ財団」で、ゴッホの手紙などを見た後、フォーロム広場の「夜のカフェ」のモデルとなったカフェに行ってお茶をしました。
私はこちらに来る前に「ゴッホの手紙」を読んでいないので、アルルに来て、少し後悔しています。日本に帰ったら、絶対に読もう。 ちなみにヴァン・ゴッホはフランス語で「ヴァン・ゴッグ」と発音します。ゴッグと言われてもピンときません。


「黄色い空と輝く太陽のオリーブ林」1889年

オリーブ畑


精神病院の庭

修道院内庭

ヴァン・ゴッホ財団

ゴーギャンへの手紙

糸杉があった場所

フォーロム広場の「夜のカフェ」

サン・トロフィーム教会と回廊、モンマジュール教会
[2017/10/01]

サン・トロフィーユ教会

プロヴァンスには10世紀末から12世紀に流行したロマネスク様式の教会や修道院跡がたくさん残っています。 プロヴァンスに来て、ロマネスク様式(半円アーチや重厚な壁、ボールトを用いる)の建物を廻ると、その時代の雰囲気に触れることができます。 私はこれまでアヴィニョンのノートルダム・デ・ドン大聖堂、法王庁北部、ニームのサン・カストール大聖堂を見ましたが、今回、訪れたアルルのサン・トロフィーユ教会と回廊とアルル郊外にあるモンマジュール修道院跡。 この2つは特に素晴らしい建物でした。圧巻だったのは世界遺産にも登録されているサン・トロフィーム教会と回廊。プロヴァンスで最も美しいと言われるだけあって、本当に見事。 12世紀に作られた回廊と柱に残っている彫刻は見ごたえ十分で、教会や回廊を歩いていると中世の時代にタイムスリップしたような気分になります。 写真を見れば、それが理解できるはず。
アルル郊外にはロマネスク建築の集大成と言われたモンマジュール教会跡があります。 この教会はレ・ボーと同じように廃墟になっているのですが、岩山の中に建てられた教会跡は迫力があります。 廃墟には廃墟の美しさがあることを、モンマジュール修道院跡で実感できます。この風景に感動したゴッホは何枚かのデッサンを残しました。 ニームの北東にあるヴェゾン・ラ・ロメーヌには後世の改築が入っていない聖ノートルダム・ド・ナザレス大聖堂(創建6~7世紀)があります。 南フランスには前記した建物の他、サン・ジルやカルカソンヌなどにもロマネスク建築が残っているので、時間を作って訪れようと思います。



サン・トロフィーユ教会と回廊

聖ノートルダム・ド・ナザレス大聖堂


モンマジュール教会跡

モンマジュールの丘

サン・トロフィーユ教会

ゴッホ「収穫」の遠方にモンマジュールの丘が見える

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